MSCは骨髄の細胞の中に1万〜10万個に1個という割合で存在する細胞です。また、加齢と共に減少してゆき、例えば歯周病を発症する年齢では極端に少なくなってしまいます。そのためこれまでは移植に必要な量の幹細胞を取り出すために、たくさんの骨髄液を患者さんから採取しなければいけませんでした。従来のヒト血清を用いた培養法では細胞は10倍程度にしか増殖せず、治療に必要と思われる量の確保が困難でした。ツーセルは このMSCを腸骨歯槽骨(抜歯時に採取可)の骨髄から取り出し、1万倍以上に「超増幅」させることに成功しました。このことで少量の骨髄液を採取するだけで移植に十分な細胞を得ることができ、患者さんへの負担が小さくなりました。
これがFGF(fibroblast growth factor:線維芽細胞増殖因子)を用いた「MSCの超増幅法」です。超増幅法では、従来法の1,000倍、つまりMSCを10,000倍以上に増やすことが可能になりました。(図2参照)

 ツーセルが注目しているMSCは成体幹細胞であり、すべての人の骨髄から採取が可能です。 また、骨、軟骨、心筋、脂肪、神経などの多種類の細胞へ分化する能力を持っています。 この能力のため、MSCの移植によって治療できる疾患の数や患者さんの数はとても多いのです。MSCの研究は世界中で行われていますが、その治療の可能性は無限大です。私たちは、特に多くの患者さんが苦しんでいる図1の疾患への治療に取り組みます。すでに、ツーセルでは広島大学歯学部とともに、MSCを用いた歯周病の治療において歯周組織の再生医療に取り組んでいます。


 MSC移植による再生医療の最大の問題は正確な品質管理技術がないことでした。品質検査ができないかぎり再生医療の普及や事業化は不可能となります。ツーセルは正常MSCのバイオマーカーを多数同定して、MSCの品質検査法を開発しました。(図3)
 なお、MSCの癌化・腫瘍化リスクが問題になってきたこと(Cancer Res. 2005)に関連して、「感染リスクの排除、同一性の確保、免疫反応、ガン化等の抑制及び培地等による有害作用の防止に関する研究」が、厚生労働省科学研究費によるヒトゲノム・再生医療等研究事業で、2005年5月よりスタートしています。2008年夏には研究班の報告書が出される予定です


図2
図1
図3