「ツーセルが開発を目指しているのは、切り傷に張るばんそうこうのガーゼ部の代わりに培養皮膚が付いている移植用皮膚だ。重いやけどなどで皮膚の再生能力が低下した患部に張ると、感染症を防ぎ皮膚の再生能力を高める働きをする。
ツーセルが使うのは動物由来の成分を使わない培養法だ。細胞増殖を調整するたんぱく質やアミノ酸、ビタミン、塩類などを調合した培養液を使って皮膚を育てる方法を開発した。実用化に向けて保存方法にも工夫を加える。食品などに使うフリーズドライ技術だ。この方法を使えば常温で保存でき、使用直前に生理食塩水をかけるだけで元に戻せる。細胞を培養して皮膚を作るには3-4週間かかる。患者以外の細胞を使い安全で保存可能な培養皮膚を製品化できれば、救える患者を増やせるとみている。
培養方法の開発には区切りがついたため、今後は培養皮膚にテープ部をつけたばんそうこうの試作品に挑戦する。『ばんそうこうを張るだけで移植できれば、在宅医療の現場でも皮膚移植が可能になる』(ツーセル 仁科氏)。在宅医療でも使えれば床ずれなどにも応用でき、それだけ市場も広げられる。試作品の完成までこぎ着けても、臨床試験など高いハードルを越えなければならないので、今後は開発ノウハウを持つ企業との協力などに広がる可能性もありそうだ。」
(日経産業新聞 8月27日(月) 11面より一部抜粋)